Selecting a Pressure Sensor Model Number [The Basics]
圧力センサの型番選定【基礎編】

圧力センサは産業用途からコンシューマ向けまで幅広いアプリケーションに利用されています。特に基板実装型圧力センサは小型で耐久性が高く、様々な用途に使用できるため、圧力センサを初めて使用するというお客様も増えてきています。今回は Merit Sensor Systems 社、LP Series のデータシートを例に型番選定に必要な項目を解説します。

圧力センサの型番選定【基礎編】

型番選定について

多くのメーカーで、一つのセンサシリーズ内で枝分かれした型番を展開しています。これらの枝番によって、圧力レンジや測定タイプ、出力タイプなどが識別できます。圧力センサを正しく選定するためには、各項目を理解し、アプリケーションに応じて必要な要件を把握し、適切な型番を選択する必要があります。

図1は、Merit Sensor Systems 社の LP Series 1420 Family(デジタル出力)の型番選定に必要な項目です。比較的選択肢が少ない、こちらの圧力センサシリーズのデータシートを使用して、どの圧力センサでも必須の選択項目である、測定圧力範囲、圧力センサのタイプ、出力方式の選び方を解説していきます。

図1:LP Series 1420 Family 型番選択

1.測定圧力範囲

測定圧力範囲は、圧力センサの選定においてあたって、最も重要な仕様です。まず、アプリケーションに必要な測定圧力範囲を事前に把握しておきましょう。例として、15psi の圧力を測定したい場合、LP Series では、図1の「Pressure」の項目から 15psi に対応する「15P」を選択します。ここでの、圧力単位は各メーカー、シリーズによって異なります。同シリーズの中でも別単位が選択できる場合もあるので注意してください。

圧力単位換算表

  kPa mbar bar psi mmHg
kPa 1 10 10-2 1.45038×10-1 7.50062
mbar 10-1 1 10-3 1.45038×10-2 7.50062×10-1
bar 102 103 1 1.45038×101 7.50062×102
psi 6.89476 6.89476×101 6.89476×10-2 1 5.17149×101
mmHg 1.33322×10-1 1.33322 1.33322×10-3 1.93368×10-2 1

2.測定タイプ

次に圧力センサの測定タイプを選択します。測定タイプは、測定する圧力の基準をどこに設定するのか決めるものです。センサの用途、使用環境に最も適したタイプを選択してください。

絶対圧(Absolute Pressure)

絶対圧は、真空を基準にして測定する圧力のことを指します。絶対圧タイプのセンサは真空をゼロとし、測定対象の圧力を出力します。環境圧力の変化の影響を受けたくない場合に使用されます。

ゲージ圧(Gauge Pressure)

ゲージ圧は、周囲の圧力を基準にして測定する圧力のことを指します。ゲージ圧タイプのセンサは周囲の圧力をゼロとし、測定対象の圧力との差を出力します。環境圧力の変化を考慮する必要がある場合に使用されます。

差圧(Differential Pressure)

差圧は、2つの異なる圧力を比較して測定する圧力のことを指します。差圧タイプのセンサは通常、2つの測定ポートに接続され、2つの圧力の差を出力します。特定の圧力差を測定したい場合に使用されます。

図2:圧力タイプ別のイメージ

メーカーごとに圧力タイプの考え方が異なることはほとんどありませんが、一部表記が異なる場合があります。例として、差圧センサとして LP Series を使用したい場合、Reference の項目から「D」を選択します。

3.出力タイプ

基板実装型圧力センサでは、デジタル出力かアナログ出力かを選択できる場合があります。LP Series でも、デジタル出力とアナログ出力のどちらかを選択することができますが、ここで例に挙げている 1420 Family はデジタル出力のモデルで、アナログ出力に対応しているのは LP Series 1410 Family となります。このように、アナログ/デジタル出力でモデルナンバーが異なる場合とひとつのシリーズ内でアナログ/デジタル出力別の枝番を選択する製品もありますので、選定の際に注意してください。

また、LP Series 1420 Family は I2C のみの対応ですが、製品によっては SPI、UART などのプロトコルから選択可能な場合があります。ここでは I2C のアドレスが選択可能なので、0x28の「0」を選択します。

4.形状選択

基板実装タイプの圧力センサの特長の一つとして、様々な形状が用意されている点が挙げられます。(図3参照)ポートの形状や向き、表面実装タイプかスルーホールマウントタイプなどを選択します。

ここではポートの数が選べます。測定タイプの選択で差圧センサを選択したので、ポートが二つ付いた「1」を選択します。

図3:センサ形状

5.その他の選択

LP Series では他に Update Rate と Calibrated Supply Voltage の項目から選択する必要があります。他のセンサではあまり選択肢が与えられない項目ですが、ここでは Update Rate は「1」= 25ms、Calibrated Supply Voltage は「1」= 5.0V を選択します。Calibrated Supply Voltage は使用する電源電圧と合わせるのが一般的です。

ここまで選択してきた枝番から「1420-15PD-1011-111」という型番が選定できました。

今回は、Merit Sensor Systems 社、LP Series のデータシートを例に圧力センサの型番選定に必要な項目と選び方を解説しました。メーカーによって使用している単語の定義が違う場合がありますので、分からないことがあればメーカーか代理店に確認することをお勧めします。圧力センサを初めて選定する方々の参考にしていただければ幸いです。

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