アイソレーションアンプ技術ノート(第5回)

今回(第5回)は、アイソレーションアンプ技術ノートの最終回として、前回(第4回)の使用方法に関する補足説明及び、 使用目的、当社製品の採用実績について紹介いたします。

目次

  1. 入出力段使用方法に関する補足事項
  2. 使用目的、採用実績
アイソレーションアンプの回路ビジュアル

1.入出力段使用方法に関する補足事項

1) アイソレーションアンプ内部入力段オペアンプの -IN、+IN、FB は外部端子となっており、オペアンプ回路を自由に構成することができます。 (FB はオペアンプ出力)
2) アイソレーションアンプとしての入出力極性は、オペアンプの構成方法により、+IN からの入力では非反転増幅(図1)、-IN からの 入力では反転増幅(図2)となります。また、入出力間のゲインは、この入力段オペアンプのゲイン G となります。
図1 非反転増幅

図1 非反転増幅

図2 反転増幅

図2 反転増幅

3) アイソレーションアンプは、極めて高い入出力間絶縁耐圧を有しています。
然しながら、入力部、出力部の回路自体は通常のアンプ回路と変わらず、最大耐圧は数 V~ 数10V 程度です。そのため、予期せぬ 高電圧が印加される可能性がある場合には、抵抗、ダイオード、ツェナーダイオード等の保護回路(図3、図4)を推奨します。
図3 非反転増幅の入力保護

図3 非反転増幅の入力保護

図4 反転増幅の入力保護

図4 反転増幅の入力保護

出力段の場合も、出力 OUT と出力 GND 間に高い電圧ノイズが入る事があります。 入力段と同様に 15V ~ 20V のツェナーダイオードと 数 kΩ の抵抗で保護する事が可能です。

2.使用目的、採用実績

1)使用目的

アイソレーションアンプの使用目的は、次の2つです。
① GND電位より極めて高い電流、電圧、電位差、温度信号、等の伝送。
② 極めて大きい AC 又は DC の同相電圧/ノイズの除去。

2)採用実績

① 高電位の電圧・電流監視

  • 鉄道架線の電圧監視装置
  • 直列接続の電池セルの高電圧監視機器
  • 電池セルの評価試験システム
  • HVDC(高圧直流伝送)装置の電圧/電流監視
  • 非接触給電機器の電圧/電流監視
  • 高電圧試験装置の電圧監視、信号絶縁による安全確保
  • 医療機器(超音波診断装置等)

② 同相電圧/ノイズ除去

  • 鉄道車両制御ユニット/インバータ機器間のインターフェース
  • 電力計装機器/制御機器間のインターフェース
  • 工業計装機器(温度・圧力・重量・振動・水位等)の計測/制御
  • 半導体製造装置向け高周波電源装置、制御信号の伝送用途
  • レーザー機器/溶接機器向け高圧電源装置、制御信号の伝送用途
  • 屋外設置センサ信号の 4 ~ 20mA 伝送用途

アイソレーションアンプの概要や利点 ~ 技術要素や採用実績について、5回に分けて説明をさせていただきました。特にトランス絶縁タイプの利点についてご理解をいただき、今後、弊社製品にお問い合わせをいただけましたら幸甚です。

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アイソレーションアンプ技術ノート 第5回(PDF版)

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【技術解説動画】アイソレーションアンプのご紹介

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