アイソレーションアンプ技術ノート(第1回)

「絶縁:アイソレーション」というキーワードは、各種の安全規格でも定義されていて、絶縁アンプは保全において欠かせない機能を 持っている製品です。絶縁アンプは製品保全の機能とともに信号伝送の課題を解決できる利点があります。それでは、「絶縁アンプは、なぜ必要か」 「その機能はどのように実現しているのか」という観点で弊社アイソレーションアンプ(絶縁アンプ)を例として計4回にまとめ、第1回は アイソレーションアンプとはどのようなものか、特徴や使用例等について説明していきます。

アイソレーションアンプのイメージ

1.アイソレーションアンプ(絶縁アンプ)とは

  • 入力側と出力側が電気的に絶縁されていて、 DC~AC のアナログ信号を伝送するアンプ
    のことをアイソレーションアンプと言います。(図1参照)
    デジタル信号絶縁の場合は、単にアイソレーションと言います。
図1

図1

  • 入力段と出力段を絶縁し、信号を伝達する方法としては、光や磁気等がある。
  • アイソレーションアンプの伝送帯域は、通常 DC~数kHz、或いは数10kHzで原則「DC増幅器」となっている。
  • 入出力間は、物理的に切り離されていて、DC的には絶縁されている。但し、交流的には、数10pF程度の容量性結合がある。
  • 入力部電源/出力部電源も絶縁されている。

2.特徴とその利点

  • 入力側から出力側(或いは出力側から入力側)への電流の漏れがないので、感電することがなく、安全が確保できる。
    同様に漏れ電流による入力側、出力側装置の破損を防ぐことができる。
  • 入力と出力間に高電圧(1kVACrms ~ 5kVACrms)が存在しても動作するため、高電圧部の信号増幅が可能となる。
  • 入力と出力間に極めて大きな同相ノイズ(Ecom)があっても動作する(同相ノイズは除去されるが、差動ノイズを除去する事はできない)。
  • 入出力間電位の異なる信号を処理し、図2のように高電圧の混在があっても後段回路の保全ができる
    (長距離信号伝送において、GND 間の電位が存在する場合に、その電位差を無視する事ができる)。
図2

図2

3.モジュールについて(弊社製品)

  • アイソレーションアンプは、絶縁伝送の回路、絶縁された電源等の複雑な構成となる為、全体を1つにまとめたモジュールが有効となります。
  • 弊社ではモジュールとして、高精度、高信頼性と小型化のGAシリーズ、MISOシリーズを用意しており、全て入力部電源/出力部電源を内蔵しています。

弊社アイソレーションアンプ紹介へ

https://www.gec-tokyo.co.jp/components/global-micronics/isolation-amp-ga-miso-series

4.使用目的、使用分野の例

【電車車両 等】

  • 架線電圧、電流の監視、駆動動力系の監視
  • 電車等での車両間の制御信号インターフェース

【FA 関係】

  • 各種センサ、制御機器間のインターフェース
  • 大型電源の制御信号の伝送用途

【発電設備】

  • 発電部、制御部間のインターフェース
  • 直列接続された各バッテリーセル、太陽電池セルの端子電圧の監視
  • パワーコンディショナー制御信号の伝送用途

5.使用例

使用例 高電圧ラインの機器監視/制御

使用例 高電圧ラインの機器監視/制御

使用例 バッテリー電圧の監視

使用例 バッテリー電圧の監視

第2回 は、「絶縁とノイズ除去」をテーマに、説明していきます。

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