EV急速充電器用AC-DC電源ユニットの特徴と仕様について
日本含めた各国・各地域は2050年までのカーボンニュートラルを目指すことを表明しております。日本における二酸化炭素排出量のうち15.5%を自動車分野が占めており脱炭素化に向けた早急な対応が必要となっています。今回は、EV充電器の概要とEV急速充電器に組み込むことができる OmniOn Power社 AC-DC電源の特徴・仕様について説明いたします。
1.日本国内の自動車産業の電動化・インフラ整備の目標
EV車普及には充電インフラの整備が欠かせない状況となっています。
経済産業省 2021年6月 グリーン成長戦略(自動車・蓄電池産業)
電動化の目標:2035年までに乗用車新車販売で電動車100%を実現 ※1
インフラ整備の目標:公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラ15万基を設置し、2030年までにガソリン車並みの利便性を実現 ※2
2.EV充電器の種類
EV充電器は充電方式・出力や用途によって、普通充電器と急速充電器にわかれます。
充電器種類 | 普通充電器 | 急速充電器 |
---|---|---|
充電方式 | 交流(AC)充電 | 直流(DC)充電 |
充電器出力 | 3kW/6kWなど | 30kW/50kW/90kW/120kW/180kWなど |
充電拠点 | 住宅・事業所・宿泊施設など | 高速道路PA/SA・商業施設・自動車ディーラ・コンビニ・事業所など |
駐車時間目安 | 概ね8時間以上 | 概ね30分以上 |
なお、EV車への充電時間はEV車搭載のバッテリー容量とEV充電器出力によって異なります。
充電時間の単純計算値
計算例:バッテリー容量40kWh(国産EV乗用車例)、 充電器出力6kW・50kWの場合
40kWh÷6kW=6.7時間 ※普通充電器6kWの場合
40kWh÷50kW=0.8時間(48分) ※急速充電器50kWの場合
3.EV急速充電器に用いられるAC-DC電源ユニットの要件
- 高電圧・大電力化への対応
- 高効率
- 各種安全規格への対応
4.EV急速充電器に組み込むことができるOmniOn Power社 AC-DC電源ユニット
EV急速充電器はAC-DC電源ユニット・充電制御装置・充電コネクタ・入出力ブレーカ・表示器などで構成されています。下記に提案するEV100/EV101はAC-DC電源ユニットとしてEV急速充電器に組み込むことができます。
製品型番:EV100H3N1K / EV101H3N1K(非常電源停止機能付)
特徴
- 広い出力電圧範囲 150~1000Vdc、定格電力 30kW
- 高効率 96% peak
- 最大360kWの充電システム構築可能 (30kw x 12台並列max = 360kW)
- 各種保護機能搭載
- 各種安全規格認証
仕様
- 出力:150~1000Vdc
- 効率:96%peak
- 動作温度範囲:-40~70℃
- 通信機能:CANBus
- 保護機能:出力過電流/過電圧保護、入力AC過電圧/低電圧保護、過熱保護
- サイズ:W300×D435×H84mm
- 安全規格認証:UL2202, UL2231, IEC60664-1, IEC/EN61851-23, IEC61851-1
効率カーブ:入力480/400Vac 出力300Vdc
効率カーブ:入力480/400Vac 出力750Vdc
今回は、OmniOn Power社製AC-DC電源ユニット、EV100/EV101について説明をさせていただきました。本製品につきましては、EV急速充電器に求められる主な下記要件に対応しておりますので、EV急速充電器の開発を行う際の候補として、参考にしていただければ幸いです。
- 高電圧化(~1000Vdc)・大電力化(360kW)への対応
- 高効率(96%peak)による電力の有効活用に貢献
- 各種安全規格への認証取得
※1 電動車=EV, FCV, PHEV, HV
※2 公共用充電設備はこれまで全国で約3万基を整備(急速充電器8265基, 普通充電器21198基) 2022年3月現在